観葉植物など自宅で育てる植物を綺麗に保つには【剪定】が必須になります。実際になぜ剪定が必要なのかを理解している人も少ないのではないでしょうか?

結論から話すと剪定は不要となった枝などを切り除去することで植物の形、所謂【樹形】を整えるのです。また剪定にはそれ以外の効果もあり、メリットばかりなので観葉植物を育てている方やこれから育てたい、購入を考えているという方はぜひ最後まで読んでください。

剪定についてや手入れ、綺麗に保つ方法を細かく解説していきます。

剪定はなぜ必要?

冒頭でも触れましたが剪定の1番の目的は樹形を整えることです。不要となった伸びた枝葉を除去することで木の形を整えることができます。昨今では枝だけでなく花や茎の除去、間引きも剪定に含まれたりもします。

また剪定をすることで常に良い状態で成長を促せるので育てていく楽しさをより実感することができます。

樹形を整える

長く伸びた枝を除去することで樹形(木全体の形)が整います。剪定にはいくつか種類がありますが、大きく区分すると2つの種類に分かれます。

・人工樹形 : 幾何学で計算された姿の樹形、生垣もこの種類に含まれます
・自然樹形 : 木が持つ自然な姿、形を保ったまま育った樹形

双方、剪定の方法が異なるので自分がどう植物を育てたいのか計画を立ててから剪定するようにしましょう。

人工樹形の場合、本来の木の形に囚われずどんな樹形にしたいかをしっかりとイメージしましょう。理想とする形にしていくため切り込みや除去する枝も増えるでしょう。

自然樹形では本来の木の姿を失わないように必要最低限の間引きに収めましょう。細かい枝や葉っぱなど外見に変化が出ない程度を意識することで不自然さがなくならずその植物のポテンシャルを生かすことができます。

生育がよくなる

剪定をすることで適度な枝の数にしておくことで栄養がメインの枝や幹に効率よく回るため生育が良くなるのです。

木は根から栄養となる養分を吸い上げ、幹から全ての枝に栄養が均等に行き渡る仕組みになっています。そのため枝数が多いとそれぞれに行き渡る栄養が少なくなり、理想とする形にうまく成長しなくなる可能性もあるのです。

また植物は日光にあたることで成長します。光合成を全体に促すためにも枝数を絞り満遍なく日光にあたるようにするとさらに効率良く成長させることができます。

花や実のつきが良くなり華やかになる

しっかりと剪定をしておくことでその植物に実る実や花の数を増やすという効果を期待することができます。剪定をすることで栄養を行き渡らせたい箇所に的確に促し結果、花や実がつきやすくなるのです。

枝分かれする性質を持つ植物はうまく剪定することで本来持っている植物のポテンシャル以上の花や実を咲かせることができるのです。

木による事故防止ができる

剪定を行わずに育ってしまうと、四方八方に枝を伸ばし成長してしまう可能性が高くなります。そうなると思わぬ方向に枝が伸びてしまい自宅の敷地内から飛び出ることもあります。そうすると近隣の住民からのクレームや怪我の原因になり、近隣トラブルの引き金になってしまいます。

その他に電線に引っかかることで予想だにしない事故が起きるといった事例もあります。そういったトラブルを招かないためにも剪定をこまめにするのはとても大切です。

また、枯れてしまった枝を放置すると日に日に弱まりいつ折れて落下してもおかしくない状況になる可能性もあります。その枝の落下により怪我などの被害を招いたり、家屋を傷つけたり破損を引き起こしてしまったりと被害を広げる可能性があります。そういったことも防止するため剪定は怠らないようにしましょう。

枯れ・病気・害虫被害を防げる

剪定により風通しや日当たりがよくなります。そうすると木の病気や害虫に食べられてしまうといった被害を防ぐことができます。木の病気で多いのはカビ菌による病気です。枝葉が生い茂っていると木に湿気がこもってしまいカビを誘発します。また湿度の高い環境は害虫にも住みやすい環境になってしまうため、虫を引き寄せる結果につながります。

カビによって人間にもアレルギーを引き起こしてしまったり、外注の被害によって虫刺されなどが起こる可能性もあります。こういった被害も剪定をすることで防ぐことができるのです。

剪定の種類

先で剪定を大きく2種類に分けて簡単に紹介しましたがここでは剪定の種類を細かく解説していきます。

強剪定

強く剪定すると名前の如く枝や葉を大胆に除去する大がかりな剪定です。大掛かりになるため木にとっても負担がかかりストレスを与えてしまいます。そのため頻繁にすることはおすすめできません。木自体の活動が緩くなる「休眠期」と呼ばれる冬〜春にかけて行うことを理想とされています。時期を間違えると木が枯れるといったトラブルもあるため十分気をつけるようにしましょう。

弱剪定

強剪定とは対となる剪定方法で自分が理想とする形に木を整える剪定です。木のトラブルを防ぐため風通しや日当たりをよくするといった狙いもあります。木と向き合い健康を保つための剪定方法なので必要最低限の除去を心がけましょう。

透かし剪定

透かし剪定は伸びすぎたり、密集している枝を透かすように剪定する方法です。枝と枝の密度を低くすることで日当たりや風通しを良くする効果を狙うことができます。また大きくなりすぎた樹木であれば「強剪定」で小さくすることもできます。

切り戻し

切り戻しは枝を半分〜3分の1の範囲で剪定し樹幹を保つ方法です。木は切れた枝から枝分かれする習性があるため無計画に枝を切ると細かい枝がたくさん出てしまい、樹形を崩してしまう可能性もあります。切り戻しは花卉や野菜の栽培時にも使用され開花や収穫などを促進させて目的に合わせて育てることができます。

刈り上げ・刈り込み

生垣やトピアリー(常緑樹や低木を刈り込んでできる造形物)などに用いる方法です。基本的には全体を均一に一定の長さで刈り込み整える方法なので難しくなく簡単に行えます。枝が表面から出てしまう時は切断部が見えないように少し深いところで切ると綺麗になります。

芽摘み・みどりつみ

他の剪定方法とは異なり盆栽用語でもある芽摘みは、針葉樹などの新しく伸びてきた新芽を器具を使用しないで手で摘む方法です。この方法を用いることで枝の生長を抑えることができます。そうすることで樹形を理想の形のまま保ことができます。庭木に生えるマツにも用いることができる方法で6月頃に実施することで生長を緩やかに緩めることができます。

切り詰め剪定

理想としていない伸びすぎた枝を短く切る手法です。枝が伸びすぎて樹形全体が大きくなってしまった木を小さくする時などに行います。

剪定をしたほうがいい時期は?

剪定は樹木の種類によって大きく変わります。

木には生長サイクルというものがあり、1年を通して常にグングン生長するのではなく、体力を使い生長を促進する時期と体力を回復する時期があるのです。その中で回復の時期に剪定を行ってしまうと体力がないタイミングになるため木自体が弱ってしまうのです。

そうならないためにも木の種類と剪定に適した時期をしっかりと把握しておきましょう。

常緑樹

名前の通り1年中葉をつける植物のことです。その中でも葉が丸い広葉樹と葉が細長く尖っている針葉樹があります。
代表的な常緑樹は以下の通りです。

常緑広葉樹

・ユーカリ
・オリーブ
・キンモクセイ
・シマトネリコ
・ガジュマル
・ソヨゴ
・ジンチョウゲ
・ツバキ
・クスノキ
・ゲッケイジュ

常緑針葉樹

・スギ
・マツ
・マキ
・モミ
・ゴールドクレスト
・ムクゲ
・カイヅカイブキ
・ドラセナ

落葉樹

落葉樹は秋〜冬にかけて葉を落とす植物を指します。落ち葉など紅葉で代表的な樹木は落葉樹が多いです。

落葉広葉樹

・サクラ
・モミジ
・ウメ
・カツラ
・アジサイ
・ヤマボウシ
・シャラ
・サルスベリ
・ハナミズキ

落葉針葉樹

・カラマツ
・イチョウ
・メタセコイア

常緑樹は春から初夏にかけての剪定が理想

常緑樹は気温が暖かくなり始める3月〜4月が理想とされ遅くても夏前には終わらせておくのが良いでしょう。新芽が芽吹く直前に剪定をすることで新芽が出たとしても体力が有り余っているので、剪定で受けたダメージをすばやく回復することができるようになるためこの時期に剪定することが理想とされます。

秋〜冬場の剪定は絶対に避けましょう。日照時間が極端に減ってしまうこの時期は、常緑樹には光合成から得られる栄養が少なく体力が極端に低くなっています。そのためこの時期に剪定してしまうと最悪、枯れてしまう可能性もあります。

こんが上がりきる夏〜初秋の時期は軽めの弱剪定であれば問題ありません。

落葉樹は秋から冬にかけての剪定が理想

落葉樹の生長サイクルは9月〜11月にかけて葉を落とすことで体力を翌年まで温存します。そのため冬〜春にかけて冬眠状態になります。冬眠状態に剪定するのは不安と思う方もいるかと思いますが、秋から始まる体力温存期間のおかげで冬の間は幹に体力を溜め込み体力が下がらないようになっているのです。そのため今日剪定をしてもダメージを負わずに済みます。

落葉樹は葉が枯れてからの剪定になるため枝の状況も確認しやすく剪定がしやすいでしょう。

剪定に必要な道具

剪定に必要な道具を紹介していきます。効率よく綺麗に剪定するには道具が必須になります。自分が理想とする形や行いたい剪定方法が定まっているのであればぜひ参考にしてください。

剪定ばさみ

剪定に必要な道具で代表的なものがこの剪定ばさみでしょう。片手で扱うことができるので利便性も高くとても便利です。太い枝を切ることもでき、刃の奥まで深く枝を噛ませることで何なく剪定できます。剪定ばさみには2種類あるのでそれらも紹介していきます。

バイパスタイプの剪定ばさみ

ハサミの両側に刃が付いているのが特徴の一つです。両方の歯が交差することで強い剪定力を生みます。剪定力が強いということは切り口も綺麗に切れるということです。細かい枝などをパチンパチンと切るのに適しています。

アンビルタイプの剪定ばさみ

このタイプの剪定ばさみはバイパスタイプよりも刃が短いことと刃がハサミの片側にしか付いていないのが特徴です。刃が片方にしか付いていないため枝を固定して剪定することができます。切るときに安定するため小さな力で切ることができます。

刈り込みばさみ

剪定ばさみととは違い両手で扱う大きなハサミです。長いハサミに長い持ち手が特徴的でYの字状の形をしています。広い範囲を一片に切ることができるため生垣やトピアリーなどの形を整える時によく使用されます。

ノコギリ

一般的なノコギリではなく園芸用のノコギリがあります。一定の太さになると剪定ばさみでは挟むのが困難になります。そういった太い枝を切る時に使用します。25〜30センチほどのサイズのノコギリであれば片手で使用することもできるので扱いやすくとても便利です。

脚立・梯子

高い木、植物を剪定するのであればこれらは必須でしょう。三脚タイプのものが足場が安定するので安全に剪定できおすすめです。ここまで紹介したもの以外にも金属ヤスリもあると便利です。尖った切り口などを滑らかにすることで綺麗にすることと共に綺麗にすることができます。また木の病気予防ができる傷口癒合剤も準備しておくといいでしょう。

切るべき不要な枝の見抜き方

自分で剪定をするとなるとどの枝を切っていいのかわからないという方もいるのではないでしょうか?剪定にはいくつかのパターンがありそれを知っておくことと切るべき枝「忌み枝」と呼ばれる枝を見分けられるようになることがポイントです。

混み合う枝

多くの枝の流れに逆らい他の枝にぶつかったり日差しを遮ったりしてしまう枝は周囲の枝にダメージを与えたりするなど生育の阻害に繋がります。

・逆さ枝 : 内側に向かって伸びている枝
・絡み枝 : 隣接する枝に絡まるように伸びている枝
・平行枝 : 隣接する枝と重なって伸びている枝
・交差枝 : 隣接する枝に交差して伸びている枝
・ふところ枝 : 内側にある細く短い若い枝

樹形を乱す枝

見た目のバランスを崩し、歪な形に見えてしまう枝。

・下り枝 : 下に向かって垂れるように伸びている枝
・切腹枝 : 幹を横切り反対側まで伸びている枝
・車枝 : 一ヶ所から複数の枝が伸びている枝

生長を阻害する枝

枝のなかにはほかの枝より余計に養分、栄養を使い周辺の枝や木全体の成長を妨げる枝も存在します。木自体が弱ってしまう原因にもなるのでなるべく早く切り落としましょう。

・徒長枝 : 極端に周辺の枝よりも生長が早く、真上に向かって伸びている枝
・ひこばえ : 木の根元から出る細かく若い枝
・枯れてしまった枝病気にかかってしまった枝
・以前の剪定で切り残してしまった目立つ枝

これらをしっかりと覚えておき意識して剪定しましょう。

自分で剪定するときの切り方のコツ

初心者でも実践しやすい剪定を紹介していきます。

木の上側から剪定していく

木は上に行くにつれて細くなるという特徴があります。なぜ上から切るのかというと、木の下の方を切り過ぎてしまうと上の方の切らなくてもいい範囲をバランスを保つために切らなくてはならなくなる恐れがあります。

上から少しずつ切ることで樹形のバランスを確認しながら切ることができるので上から切ることを徹底しましょう。

枝の付け根からしっかりと切る

枝は基本的に根元、付け根から切るよう心がけましょう。枝の途中から切ってしまうと見栄えが悪くなるのにプラスして切り口から枝分かれして細かく枝が伸びたり芽が生えてしまうので樹形の乱れに繋がります。

枝分かれしている部分すぐ上、先で切る

枝分かれしているところをキッチリ切るのではなく少し上、先で切るようにすると見栄えがグッとよくなります。木の節があるところも少し上、先で切るようにしましょう。

外芽を残しながら切る

「外芽」というのは幹の反対側の枝先に付いている芽のことを指します。その反対の幹側の枝の根元面に芽のことを「内芽」と呼びます。内芽は幹の方に伸びてしまうため不自然さが目立ち、樹形を崩す原因になります。

外芽を残す際は外芽の5〜10ミリメートルほど上の箇所を外側から内側に向かって斜め方向に剪定すると綺麗になります。

まとめ

木を綺麗に保つための知識と剪定方法、手順を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

細かいところまで理解しておくことで剪定スピードは上がり、より綺麗な樹形に保たせることができます。剪定するときはいきなり始めるのではなくどういった形にするのかなどしっかりと計画を立ててから丁寧に剪定するように心がけましょう。

最初は失敗することもあるかと思いますが、木に無駄なダメージを与えなければしっかりと回復してくれるのでやってはいけないことだけ注意して色々と試していきましょう。

これから剪定する、したいと考えている方はぜひこの記事を参考に実践してください。

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