ご自宅や私有地に大きくなってしまった木でお困りの人も多いのではないでしょうか?庭木などは細かく管理している人も少ないため、気がついたら大きくなっているというケースも多々あります。その結果、見栄えが悪くなったり、家の日当たりが悪くなる、近隣の方にまで迷惑をかけてしまうと悩む方もいるでしょう。
この記事ではそんな方のために庭木など私有地に生える庭木の伐採に関することを紹介していきます。伐採には資格が必要なんではと不安に感じる方もいるかと思いますが、結論からお伝えすると資格なしでも伐採は可能です。
ですが、大きな木の伐採となるとチェーンソーなどを使用しないと伐採が困難な場合があります。そういった場合は専門の講習を受講して資格を取得する必要があります。
資格をとっておきたいという方のためにもいくつか資格なども紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
大径木とは?
そもそも大径木とはなんでしょうか?
大径木とは、幹の端から端をまっすぐに結んだ直径70センチメートル以上の樹木のことの呼び方です。原則には直径の長さだけでなく、大径木と呼ばれるには高さも必要になりその高さは胸高70センチメートル以上、必要になります。
胸高とは成人になった大人が直立した状態の胸の高さのことを指します。その胸の高さほどで直径70センチメートルを超えると「大径木」となります。このサイズの木の伐採には資格に関する特別な教育、指導を受ける必要があります。
ただ仕事としてではなく、個人で伐採する場合は資格を取得する必要はありません。
伐採に関する資格
冒頭でお伝えしたように伐採には資格は必要ありません。ですがある程度の大きさになった「大径木」にはチェーンソーなどが必要になるため資格が必要になります。木の大小関わらずチェーンソーを使用するには資格が必要になるので覚えておきましょう。
伐採にはなぜ資格が必要?
伐採はとても危険な作業で、自分だけでなく周囲の人や建物、施設などにも被害を及ぼす可能性があるためそういった被害を最大限無くすために資格が必要になります。伐採時の危険は以下の通りです。
・伐倒した樹木の下敷きになり怪我をする
・かかり木の対処法を知らず、適当に処理をして自分の方に倒れてくる
・隣家に木が倒れて問題となる
・チェーンソーを使用している時、キックバックで跳ね返り怪我をしてしまった
これらが代表的な伐採時の危険です。正しい使用方法、正しい伐採手順、正しい処理方法を知っておくことで危険を未然に防ぐことは可能です。こういった危険は周りの人にも影響を及ぼすため資格を保有し、しっかりと知識を身につけて丁寧に伐採するようにしましょう。
伐木等作業従事者安全衛生特別教育修了証
大径木を伐採する場合、こちらの資格が必要になります。大径木の伐採をする際には、使用する道具に関わらず必要になります。大径木のサイズに見たない小径木であればチェーンソーなどを使用しない方法など、伐採に使用する機器によっては資格は要りません。チェーンソーを使用するのであれば「チェーンソー作業従事者特別教育講習修了証」が必要になり、「労働安全衛生規則第36条」で定められています。
その他伐採に関する資格
小型移動式クレーン運転技能講習
広い土地などをお持ちの方であればこういった資格を持っておくと一気に伐採し、処理なども可能になります。吊り上げ荷重が最大で5トンまでの小型移動式クレーン車を運転することができるようになります。この資格には玉掛け技能講習を修了していないと受講することができませんが、この講習は簡単に取得することができます。
刈払機に関する資格
この資格は刈払機を使用する際に必要な資格です。伐採に直接関係はないものの、伐採した周辺や庭を手入れするのに活躍してくれる資格です。労働安全衛生法で、刈払機を使用する際の資格として「刈払機取扱作業者の安全衛生教育を受講」を決められています。
安全かつ効率よく畑や庭を綺麗にしたい人にはオススメの資格です。
樹木・森林に関する様々な資格
個人で伐採するには必要ないかもしれませんがそのほかにも様々な資格があります。
・林業技師 : 森林と林業についての専門知識・技術を修めた人が得られる資格です。大学・短大・高校で林業に関する知識を習得し、かつ大卒で7年以上、短大卒で10年以上、高卒で14年以上の実務経験が必要なので仕事としていく人が目指す資格です。
・森林情報士 : この資格は空中写真をもとに情報解析を行い、森林計画や治山、林道事業、地球温暖化問題などの問題に対応できる技術者になることができます。
・森林技術士 : 森林の計画、研究、設計、分析などをする森林技術士という資格です。
・森林セラピー : 森林などの自然が持つ本来の癒し効果についての知識や、健康に関すること・心理に影響することなどの専門的な知識、高いコミュニケーション能力を身につけることができる森林セラピストという資格です。
・樹木医 : 樹木に関する医者になることができる資格で排気ガスや環境汚染、病害虫などの問題を原因にかかる病気に対して治療を行うことができます。樹木の保護、管理、診断、治療などの業務経歴が7年以上ないと受講できないのでハードル高めの資格となっています。
チェーンソー作業従事者特別教育講習修了証
先にも説明しましたが個人で伐採する場合はこちらの資格を取得する必要はありません。ですが、チェーンソーの使用方法や知識など大切なことを身につけることができるので個人で伐採を考えていたとしても取得することをオススメします。
この資格は取得自体は難しくなく、学科と実技を2日間に分けて学び受講を終えれば修了試験などを受けることなく取得できる資格です。国から認められてた資格で林業を生業にしているプロも取得する資格となっています。
学科
この講習で受ける学科は伐採作業に関する知識とチェーンソーに関する知識などを学べます。伐採作業に関する知識は主に伐倒するための方法や手順、その際に使用する合図や退避など基礎的なことから自分の身を守るための知識を身につけます。チェーンソーに関する内容はチェーンソーの仕組みや構造、点検方法や整備方法などチェーンソーの扱い方から振動による障害や危険、その予防方法のレクチャーを受けます。これら全てにおいてに関わる法律なども学びますので、とても重要で濃い内容となっています。
実技
実技では実際にチェーンソーを使用した実践や伐木の方法、かかり木の処理方法などを学びながら手を動かしていきます。チェーンソーの基本的な操作はもちろんのこと、応用的な操作も学んでいきます。長くチェーンソーを使用できるように点検方法や整備方法も併せて学ことができます。
これらをを2日間で行い、資格を取得することができます。長い期間学必要がないので取得の難易度としてはそこまで高くないでしょう。一度だけの伐採ではなく、今後も続ける可能性があるならぜひ受講しておきましょう。
樹木の伐採方法
実際に樹木を伐採する方法を紹介していきます。伐採方法はいくつかありますがここでは基本となる伐採方法をお伝えします。しっかりとした準備をして、手順を正しく守ることで伐倒による被害などを防止することができます。これから個人的に伐採をすると検討している人はぜひ参考にしていただき、怪我などないよう伐採を完了させましょう。
伐採に必要な道具
伐採を行うには最低限必要な道具があります。それらを揃えてから作業に移りましょう。
・チェーンソー
・鉈
・金槌
・クサビ
・ロープ
・ハンマー
金槌とハンマーはどちらでも大丈夫ですが、直径の長い大きな木の場合ハンマーがあると効率よく伐採ができます。
1. 伐採準備
伐採を行う最初のステップは伐採する手順の確認や周辺に障害物はないか、誤って伐倒の方向をミスったとしてもトラブルは出ないかなど確認をしておきましょう。こういった準備、計画の立案をしておくことでトラブルを防止できます。
庭であれば、倉庫や外で保管している荷物などを壊さないための準備なども必要になります。伐採する樹木の状態、伐採するエリアの問題などを払拭してから伐採をしましょう。
2. 伐採する樹木に受け口を作る
伐採の最初の手順は受け口を作ることです。受け口とは切る部分にあらかじめ切れ込みを入れておくことで伐倒する方向、角度を事前に決めておくことができます。チェーンソーを真横と斜め上から切り込んで横から見たときに三角形の切り込みを作ります。この時の切り込みの深さは木の直径の4分の1ほどの深さが目安になります。切り込み自体の角度は30度〜45度が理想とされています。
この受け口を作る際に重要とされるのが「会合線」です。会合線は斜め上からと真横からの切り込みが交わる線のことをいいます。樹木はこの交わる線、所謂会合線に対して垂直に伐倒していきます。そのため伐倒する方向を正確にするため、細かく切り込みを入れていき、何度も修正するようにしましょう。慣れないうちは小さい切り込みを作り少しずつ切り込みを深くすることで、綺麗な受け口を作ることができます。
3. 追い口を入れる
次は追い口を入れていきます。追い口というのは受け口の真反対に水平に切り込みを入れることです。追い口を入れる理由は一気に伐倒するのではなく、倒すタイミングを明確にするためと、伐倒する方向を正確にするためです。
追い口を入れる高さは最初に作った受け口の下側の切り口から上側に直径5分の1ほど高さをとり追い口を作ります。
追い口を作る際の注意点としては切り込みを境にした時、まだ完全に木が切り離されていない状態にすることです。受け口と追い口に挟まれた一つの支点で立っている状態を意識すると良いでしょう。この繋がっている部分をツルと呼びます。ツルの幅は直径を10分割にした時の10分の1ほどを目安にするとうまく伐倒することができます。
4. ハンマーやチェーンソーで伐倒する
ツルを作り、あとは伐倒するだけの状態にしたら残りはハンマーやチェーンソーを使用して倒します。チェーンソーを使用して伐採知る時にありがちなのがツルを作らずにそのまま切り倒すことです。ツルを作らないと倒れる方向をコントロールできず、思わぬトラブルに発展するので必ずツルを作ってから倒すようにしましょう。
伐倒する時チェーンソーであればそのまま切り倒して問題ありませんがハンマーを使用するのであれば、ロープやワイヤーで倒したい方向に牽引しながらクサビを追い口に打ち込みハンマーで叩きましょう。そうすることで倒す方向を制限することができるので望んだ通りに伐倒できます。
樹木を切り落とすときは周辺に人がいないか、大切なものはないかなど確認してから行いましょう。
かかり木
かかり木とは伐採した木が周辺の木や枝に引っかかってしまい、地面まで倒れないことを「かかり木」と呼びます。かかり木の状態になってしまうと非常に危険で様々なリスクを発生させるので正しい対処が必要になります。
非常に不安定な状態であるかかり木はいつ倒れてくるかわからないため予想できない挙動を見せます。引っ掛かっている木を倒せばいいと安易な考えで隣の木の伐採に取り掛かることは絶対にやらないよう注意しましょう。
かかり木の対処方法
基本的にかかり木に関しては農林組合や在住しているその地区の自治体で対処法などのガイドラインを定めています。そのため、かかり木に困ったらそちらのガイドラインに従うようにしましょう。かかり木の解消方法は以下の通りです。
・フェリングレバー : この道具は切り口に噛ませておくことで急な倒木を防ぐことができます。
・ロープ : 木の幹に結びつけて引っ張ることで倒すことができます。狙った方向に倒せるのでリスクを抑えられます。
・ガイドブロック : ロープを負担なく引っ張りやすくしてくれる滑車付きのブロックアイテムです。安全に作業を行えるので必ず用いるようにしましょう。
これらの道具を揃えたらかかり木による二次被害を出さないよう、再度周辺の確認を行い作業に移行しましょう。伐採を行っている木の直径が20cm未満の場合、ロープやフェリングレバーを使用し木を回転させながら丁寧に倒します。
20cmを超える場合はロープやガイドブロックを使用し倒したい方向に牽引しながら倒します。林業機械などパワーのあるものを準備できるのであれば、機会を使用してリスクなく作業することをおすすめします。
かかり木は非常に危険で林業を生業としている人でも怪我に繋がる可能性があるため、作業が不安であれば自分でやらずプロに頼るのも一つの手です。
チェーンソーの選び方
チェーンソーは様々な種類があるため選ぶのも大変でしょう。ここではチェーンソーの種類などを解説しますので自分が伐採したい木にはどれが適してるか判断してください。
動力の違い
チェーンソーに限らず様々な道具が電動など動力を用いたものが販売されています。基本的には「充電式・電源式・エンジン式」があります。それぞれメリットデメリットがありますので解説していきます。
電源式
このチェーンソーは一番手軽で扱いやすいと言えるでしょう。コンセントに繋がなくてはいけないため、扱える範囲は自宅周辺とエリアが限られていますが自宅で小さめの木などに使用するのであれば十分でしょう。家庭菜園やガーデニングで使用するケースが多いタイプです。
充電式
このタイプはバッテリーが内蔵されており充電しておくことで、コンセントを繋がなくても使用できます。エンジン式よりも駆動音など音も小さく小回りのきくチェーンソーです。比較的に手軽に扱えるチェーンソーですがパワーはそこまで強くないので太く大きな樹木には使用するのは難しいでしょう。
エンジン式
このチェーンソーは最もパワーがあり、業者も使用するなど切れない樹木はないほどです。駆動音が大きく、騒音トラブルを招く可能性があることとガソリンを購入したり入れるなどの工程が重なり、準備が大変になります。エンジンを搭載しているので重さもあるので素人の力がない人は、扱うのが難しいでしょう。しかしながらパワーは圧巻で伐採にかかる時間、パワーは最小限に済みます。
ハンドルの違い
チェーンソーは使用するときの持ち手なども種類があります。使い勝手が変わるため、自分に合うものを選択するようにしましょう。
トップハンドル
トップハンドルは小型の小回りが効くチェーンソーに採用されるケースが非常に多いです。チェーンソー本体の上部にハンドルがついており、チェーンソーの振動を抑えやすいというメリットがあります。持ち運びやすく扱いやすいものになります。細い木などを切り倒すのに向いてるでしょう。
リアハンドル
リアハンドルは大型でパワー溢れるチェーンソーに採用されます。大型でパワーのあるチェーンソーは全長が長く扱いにくくなるのでその反動を抑えやすい構造にするためリアハンドルが採用されるのです。
安定して伐採することができますが細かく動かすなどは難しく、扱える人は限られます。高所作業などでは特に不向きなので切りたい樹木、切りたい箇所などを考慮して選びましょう。
またその他にはサイズや排気量で選ぶことができます。よりパワーを求めたいのなら大型で排気量の高いチェーンソーを選ぶと良いでしょう。
まとめ
この記事では伐採に関する資格についてや、伐採に必要なアイテム、手順を紹介しました。ある程度の大きさになると様々なリスクが発生しますので準備、確認は怠らずに伐採作業に取り掛かりましょう。
倒木による怪我やチェーンソーによる怪我は毎年のように発生しています。絶対に気を抜かないことが大切です。もし伐採に不安が残るのであれば自治体や業者に相談することをおすすめします。
自分で伐採するのであればこの記事を参考にぜひやってみてください。
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